昭和13年出版、文倉平次郎著「幕末軍艦咸臨丸」の復刻版136〜137頁
咸臨丸を追い越すアメリカ商船へ戻る
2月7日、天うららかにして風弱く、海平らにして船さらに進まず、
今朝より船尾に3本マストの船を見しが、次第に近づけば米国旗を掲げておった。
また彼の船より4910の信号旗を引き上げ何船なりやと問ひし故、
此方にて5472の旗を掲げ、日本軍艦なる由を答へた。
両船間近に相接し、甲比丹ブルーク(私注:キャプテン・ブルック)はルーフル
(遠く言語を通ずる器)を以て問ひしに、
香港より桑港(私注:サンフランシスコ)へ渡海の米国商船にして、
支那人多人数乗り組み居り、
カリフォルニアの金山、あるいはそれぞれ渡世のため、米国へ相越す由を答へた。