渡辺春己弁護士と偽作・虚偽の説明
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『歴史の事実をどう認定しどう教えるか』教育史料出版会p190で、

従軍慰安婦や南京事件被害者訴訟での渡辺春己弁護士が、
東大西洋史の碩学、今井登志喜の『歴史学研究法』東大出版(元は昭和10年筆)を引用しています。

従軍慰安婦問題専門家の吉見義明氏との対談の部分です。

今井著『歴史学研究法』は、私が全文をサイトUPしています。
http://1st.geocities.jp/rekisironnsyuu/genndaibunn.rekisigakukennkyuuhou.html

また、すべての人に知ってほしいということで、簡単な要約もUPしています。
「歴史と証明・理論編」
http://1st.geocities.jp/rekisironnsyuu/rekisitosyoumei.rironnhenn.html

「偽作」については、以下のように説明があります。

  「中世ヨーロッパでは、領地などの権利を強固にするため、多くの偽文書が作られた。
  そのほか、家格を良くするための虚栄心からくる偽文書がある。

  わが国でも戦の感状などに偽造がある。
  西洋では教会に偽文書が多くある。
  ローマ法王に関する偽イシドールス法令集は偽文書としてよく挙げられるものである。

  偽作の種類は非常に夥しい。」   

  「偽作のできる動機を挙げると、
  好古癖・好奇心・愛郷心・虚栄心などに基づく動機、宗教的動機などが挙げられるが、
  なんと言っても利益、ことに商業的利益の目的を動機としたものが最も多い。

  そしてこれらの動機に基づく偽作は、ほとんどすべての種類の史料に行き渡っている。」

私は、初めて今井著を読んだとき、このような犯罪めいた行為の解説が出てきたので、
強いショックを感じたのですが、

渡辺弁護士は、史料の「偽作」の可能性には、全く触れないで終わってしまいます。
これでは、「史料批判」の説明の必要がある本なのに、「意図的な無視」となっています。

また190ページの部分では、「錯誤」を引用していますが、
今井著では続いて「虚偽」の説明があるのに、それはカットしています。

今井著「史料批判」についての意図的「重大な歪曲」に当たると思います。

渡辺春己弁護士は、史料批判の歪曲者という意味で、
非常に怪しい人物に見えます。