遣明船貿易の三つの形態

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     遣明船に積む貨物の種類
1、明の皇帝に対する、日本国王からの進貢物、
2、使臣の自進物、
3、将軍・使臣・客商・従商等の「附塔物」
       **「附塔物」とは、「幕府」の貨物、「遣明船経営者」の貨物、
          「遣明船に搭乗を許された客商・従商」の貨物、を言う。


 そしてこの貿易には、次の三つの形態があった。
(1) 進貢貿易 
遣明船は朝貢船である。
日本国王(足利将軍)の進貢物を、明の皇帝に捧げる、のが建て前である。
使節もまた、自進物として、皇帝に貢物を献じた。
これらの進貢に対しては、巨額の頒賜(回賜)があった。そのため、一種の割の良い貿易と考えられた。

     日本からの進貢物(馬・太刀・硫黄・瑪瑙(めのう)・金屏風・扇・(やり)
     中国からの回賜(白金・絹織物・銅銭)

(2) 公貿易
遣明船の「附塔物」について、「明の政府」との間で取引される貿易。
「附塔物」は北京に送られるのが建て前で、北京で価格が決められて取引された。

       日本から(蘇木・銅・硫黄・刀剣類など)
       中国から(銅銭・絹・布など)

(3) 私貿易
     取引の場所が三ヶ所あった。
1、寧波における「牙行」との取引。
2、北京における会同館市易。
3、北京から寧波への帰路の沿道で行われる貿易。
         **「牙行」とは、明の政府から官許を得た特権商人。
            遣明船の貨物の受託販売、遣明船が日本に持ち帰る貨物の受託購入などにあたった。

     私貿易によって日本にもたらされた貨物

     (生糸・絹織物をはじめ糸綿・布・薬材・砂糖・陶磁器・書籍・書画・
      紅線および各種の銅器・漆器等の調度品)


(参:田中健夫『対外関係と文化交流』思文閣史学叢書。昭和57年。P101)