偽作について(今井著の説明と、実例)
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過去に出現した偽作について、今井登志喜『歴史学研究法』から、以下に引用してみる。
「中世ヨーロッパでは、領地などの権利を強固にするため、多くの偽文書が作られた。
そのほか、家格を良くするための虚栄心からくる偽文書がある。
わが国でも戦の感状などに偽造がある。
西洋では教会に偽文書が多くある。
ローマ法王に関する偽イシドールス法令集は偽文書としてよく挙げられるものである。
偽作の種類は非常に夥しい。」
「偽作のできる動機を挙げると、
好古癖・好奇心・愛郷心・虚栄心などに基づく動機、宗教的動機などが挙げられるが、
なんと言っても利益、ことに商業的利益の目的を動機としたものが最も多い。
そしてこれらの動機に基づく偽作は、ほとんどすべての種類の史料に行き渡っている。」
(偽作の事例:偽作・誤認の話 (ベルンハイム著『歴史とは何ぞや』より)
偽イシドールス法令集 (林健太郎『史学概論』より)
狩野亮吉「天津教古文書の批判」 (斉藤孝『歴史と歴史学』より)