『倭寇と勘合貿易』田中健夫・昭和36年・至文堂
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南海路のこと、
遣明船の公貿易で膨大な量の日本刀が輸出されたこと
が、他の本と比べて、であるが、具体的に載っている。
昭和36年は古すぎると思うのだが、情報が更新されたものを、まだ見つけていない。
また、論文式の本でもないので、本文の内容と、後ろに載っているたくさんの参考文献を照合できず、
本文の内容の典拠は何かと考えるのに、その予想される労力を思って、立ち止まってしまう。
田中健夫著の『中世対外関係史』1975年、
『中世海外交渉史の研究』1959年、
『対外関係と文化交流』1982年、
『東アジア通交圏と国際認識』1997年、
『対外関係史研究のあゆみ』2003年、
と比べてみた。
同じ田中健夫著でも、記述が比較的重複しているのは、『中世対外関係史』だが、
P155で、19次にわたる遣明船派遣の概略ならびに派遣費用、乗組員の構成、船舶、行程、警護等の問題は、
『倭寇と勘合貿易』で考察した、と述べるのみで、内容の記載はない。
公貿易の主力が刀剣だった、と、具体的な数を上げて、その膨大な数について述べているのも、
今のところ、この本、『倭寇と勘合貿易』しか知らない。
南海路のことも、公貿易で膨大な量の日本刀が輸出されたことも、
長い間、ほとんど人の目に触れないまま、今まで来ている、というのも、引っかかる。